現在の親と若者が、今すぐに絶対読むべき本 「決壊」平野啓一郎

平野啓一郎の決壊は、今すぐに、必ず読むべき本である。

 

   

 

ドストエフスキー的な読みにくい文章が苦手な方には、

下記のような読み方から入っても良いと思う。

 

1.上巻、三章「秘密の行方」(168頁~)を読む。

 (読みやすく、ゴシップ的におもしろい)

2.上巻、四章「悪魔」の第二節(313頁~)を読む。

 (三章を読めば、彼のその後が気になるので読める)

3.あとはご自由に。

 

「――で、百年後にその問題とやらが解決されたとして、それが、今この瞬間に生きている人間にとって、一体何になる?」(342頁)

 

「今この瞬間に生きている人間」とは、特にあなたの子どもや、若者のあなた自身である。

 

今すぐに行動し、解決しなければならない。

そうしなければ、損なわれてしまう人生がある。

 

・・・

 

本作品は下記の本にて紹介されていたのをたまたま目にして、読むことになった。

 

 紹介文を引用しよう。

「私は泣きました」 北星学園大学図書館司書 松本ゆかり

ブログがきっかけとなって起こる猟奇的殺人事件の話です。装丁から既に不吉でかっこよく、手に取るだけで心臓が高鳴ります。まず怖いのは、表紙で堂々と被害者の名前をばらしているにもかかわらず、なかなか事件が起こらないことです。平凡な被害者も、夫婦のミスコミュニケーションや兄弟間のコンプレックスなど、さまざまな問題を抱えていることが明らかになっていき、ますます先の事件への不安が募ります。そしてついに事件は起こりますが、それ以降の状況の救いのなさには言葉を失います。私は怖くて泣きました。人間が壊れていく様子が、容赦なく丁寧に描かれていきます。いじめ、鬱、ネット社会の無責任さなど、現代社会の歪みについて考えさせられる作品です。

 

選本は、スゴ本のDain氏が書いているように、誰かがすごいと思った本を教えてもらうのがいいし、それはすごく楽しいことだ。

選本の肝は本ではなく、人を探すこと。わたしが知らないスゴ本は、それこそ百万冊ある。その本そのものを探すのはとても難しい。しかし、百万冊のスゴ本は間違いなく誰かに読まれている(それは"あなた"かもしれない)。だから、スゴ本を読んでいる"あなた"を探す。このblogの究極目的も、そう。

本を探すのではなく、人を探す: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

ちなみに上の本の表紙にも「図書館司書、書店員……本読みの達人大集合」と書かれている。 

サイト:本を愛する大人たちのおせっかい 高校生はこれを読め!500冊リスト

 

そして、当時社長業をしていた本友達(?)が、選本のひとつの着目点として、「著者の生まれ年が近い」というのをあげていたが、「決壊」の著者である平野啓一郎氏は1975年生まれで、私にとっては同世代といえる。

上記紹介にある「いじめ、鬱、ネット社会の無責任さなど、現代社会の歪みについて」は、色々なところで論じられているが、それが同世代によって描かれることで、その理解がしやすかったり、共感あるいは反発といった思いを持ちやすくなっている。

 

「愛」の反対は「憎悪」ではなく、「無関心」だということはよく言われるが、この本をまさしく「他人事」として読むことができるならば、あなたはこの「現代社会」にいない

 

 

 

しっかしこの本、最初はマジ読みにくいんスよね~。

ホント勘弁して欲しいっスわ。